シュテファン・イルザンカー
ザルツブルクの下部組織出身で元プロサッカー選手の父を持つオーストリア代表のボランチorセンターバック
ボディバランスとパワーを駆使した対人戦での強さを武器としており、ロングパスの精度も比較的高い。ただしスピードや俊敏性が乏しく、自陣のゴール前で守備に徹する古典的なセンターバックタイプでもある。
イルザンカーは2020年の冬にライプツィヒから完全移籍(移籍金は50万€で契約期間は2年半)してきました(^^♪
イルザンカーはオーストリアのザルツブルク州にあるハラインの出身で、そこからフランクフルトへは距離だと東京都~兵庫県ぐらいになると思います。
イルザンカーはオーストリア最強のザルツブルクを経て同じレッドブル系のライプツィヒへと渡ってブンデスリーガにやってきました。
このザルツブルク⇒ライプツィヒを経由してのブンデスリーガ入りはもはやこのクラブの名物とも言えるほど頻繁にみられるようになりましたね。
例えば今季のライプツィヒはハンガリー代表MFのソボスライと韓国代表FWのファン・ヒチャンをザルツブルクから獲得しています。
ですが、イルザンカーはライプツィヒのユースから直接トップチーム入りはしておらず、最初はマッテルスブルクでプロとしてのキャリアをスタートさせています。
イルザンカーが正式にザルツブルクのトップチームに加入したときの同期には、スロベニア代表MFのカンプル(現ライプツィヒ)やセネガル代表のマネ(現リヴァプール)がいます。
今季のフランクフルトでチームメイトのヒンテレッガーはイルザンカーとともにザルツブルクで国内タイトルを勝ち取った仲間でもありますね。
他にも今のブンデスリーガには有能なオーストリア人がたくさん在籍していて、ザルツブルクだけでなく多くのオーストリアのチームから選手が発掘されています。
イルザンカーはすでに30歳を超えるベテランですが、オーストリアからはこうした中堅からベテラン選手もドイツへきて活躍するケースが珍しくありません。
イルザンカーは今季のフランクフルトで2シーズン目を迎えています(^^♪
昨季の冬のマーケットで加入したためシーズン途中からの加入になりました。
イルザンカーはもともとライプツィヒのブンデスリーガ昇格年度から、ザビッツァー(現ライプツィヒ)と並んで中盤のセンタープレイヤーとしての主力でした。
ともに中盤でプレーしたケイタ(現リヴァプール)が引き抜かれたりして中盤を補強すると、次々と有能が若手がライプツィヒに加入します。
ライマー、ハイダラ、アダムスとライプツィヒのスピードあふれるサッカーに適した若手選手が頭角を現していくと、そのスピードとエネルギーに見劣りするイルザンカーは徐々に出場機会を失っていきます(>_<)
ましてやCBとしてはウパメカノとクロスターマンという信頼のおける選手がいてイルザンカーの居場所はなくなりつつありました。
そしてイルザンカーは出場機会を求めて昨季途中にフランクフルトへ移籍しましたが、同じタイミングでドイツ代表のボランチのデンメがナポリに引き抜かれています。
ライプツィヒの中盤はザビッツァーが攻守にかなりの圧力を持たせてくるので、イルザンカーとデンメが抜けても彼の安定感だけは不動でしたね。
フランクフルトはイルザンカーの獲得が決して急務というわけではありませんでした。
昨季の開幕前にかなりのポジションで補強できていて、ボランチではローデを軸としてコール(現マインツ)とソウを補強したし、CBに長谷部、ヒンテレッガー、エンディカ、アブラハムと馴染みの主力が残っていました。
コンディションはともかく特に負傷者もいなかったと記憶していて、イルザンカーがどこで起用されるのか、もしかして余剰戦力なんじゃないかと当時の筆者は思っていました(^^;)
けどたしかシーズン終盤で誰かが怪我して少し離脱して、イルザンカーがCBとボランチと兼任してたような気がします。
今季のイルザンカーのポジション争いについて
攻守に柔軟なプレーを求められるフランクフルトのなかで、イルザンカーの特徴と照らし合わせるとボランチかCBか非常に難しい選択ではあります(^^;)
イルザンカーはSBに適性があるとされますが、はっきり言ってそれは間違いでとてもサイドでプレーできるタイプではありません。
37歳 長谷部 誠(元日本代表)
34歳 アブラハム
31歳 イルザンカー(オーストリア代表)
30歳 ローデ
※負傷離脱:2020/11/06~2020/11/23
28歳 ヒンテレッガー(オーストリア代表)
※負傷離脱:2021/03/13~2021/04/19
27歳 コール
24歳 ソウ(スイス代表)
23歳 チャヴァル(ボスニア代表)
21歳 エンディカ
※負傷離脱:2020/09/13~2020/10/19
21歳 トゥタ
20歳 ブルガー
20歳 ファールンベルガー
19歳 オット
合計 13名⇒10名
ブルガーとファールンベルガーとオットの3人はユースから昇格した選手で、トゥタはベルギーのコルトレイクからのレンタルバックなのでこのポジションに今季の新戦力はいません。
冬にアブラハムは一身上の都合により退団して母国へ帰国、コールがマインツへレンタル移籍、チャヴァルがグロイターフュルトに完全移籍しました。
ローデとソウとファールンベルガー以外はCBができる選手です。
エンディカとトゥタはやるかどうかは別としてプレースタイルとしてSBも可能だと思っています。
長谷部とイルザンカーのようにボランチができれば必ずしもCBもできるわけではありません。
ローデとソウのような中盤のインサイドプレイヤーはまず最終ラインでは起用されないと言っていいでしょう。
シーズン前半戦
本来はボランチの長谷部は数年前にコンバートされてから今季もCBでリーダーシップを発揮します。
前半戦はアブラハムがいたので、3バックの主力として定位置についてましたね。
というのも貴重な左利きのCBのエンディカが開幕直前に膝の靭帯を損傷したため、大きく出遅れてしまったためにアブラハムがチャンスを得たといったところです。
エンディカの代わりにアブラハムがヒンテレッガーと長谷部との3バックを形成したため、イルザンカーはまずボランチでの起用になりました。
筆者はソウかコールがローデとのダブルボランチで安定するかと予想していましたが、意外にもイルザンカーに出場機会が与えられました。
コールがパフォーマンスを落としたことが結果的に退団にもつながっていますが、イルザンカーは攻撃よりも守備面で強度を保つことができ、さらにイルザンカー自身も滅多に決めないゴールも記録しました(^^♪
アウグスブルク戦でのイルザンカーのゴールと勝利をきっかけになったのか、フランクフルトはちょうどここから一気に右肩上がりにCL出場権を争うまでに昇りつめました。
前半戦のフランクフルトはしばらく勝てない時期がありましたが、ヒュッター監督はそこの改善に着手した結果として中盤の編成を変えました。
秋から冬にかけてはテクニカルなソウをボランチに起用して攻撃に変化をもたらしたり、エンディカがCBに復帰してからは長谷部をボランチで起用したり…。
今季の長谷部に関してはCBとして細かいミスや対応が遅れるなどでピンチを招いたりしたこともあるので、ボランチのほうが安定すると判断されたのかもしれません。
シーズン後半戦
直近の数試合では少し形もメンバーも違うと思いますがそんなに変わらないですね(^^;)
鎌田がうまく中盤で起点になりながら、両サイド(特に左サイドのコスティッチ)の突破力とクロスからエースのシウヴァの強さを活かすという基本的なコンセプトが中心になっています。
ボールの奪いどころが高ければ高いほどその攻撃力が厚みを増すので、ボランチはボールを奪う力と読みの鋭さ、展開する視野の広さが求められます。
ボランチとして現時点で最も適任なのがソウで、彼は足元の技術がありドリブラータイプでもあるので、かなりスピード感を持って攻撃を展開することができます。
ソウの次にボランチに相応しいのは技術的にはやっぱり長谷部なんですが、それは経験的な落ち着きと視野の広さを活かしたリーダーシップが発揮される場合で、年齢的にスピードと強度を求めるとちょっと厳しくなります。
もはや長谷部は日本代表時代ほどボランチとして強度や運動量も求められないので、性質的に近いローデがソウと組んだほうが安定すると筆者は考えています。
イルザンカーはおそらくフィジカル的にはソウとローデにも劣らないはずですが、ボランチだと他の選手よりボールを前に運べない、攻守切り替えの速い展開になったときに対応しきれないのが難点です(>_<)
イルザンカーが所属したライプツィヒと違ってフランクフルトはポジションごとに特化したスキルの選手が力を発揮することで成り立っているから、イルザンカーの持ち味はここではボランチじゃ活きないのかなと感じています。
長谷部、イルザンカー、ローデは30歳を超えるボランチなので、それぞれの持つ特徴はいまさら劇的に変化はしない。
まもなく今季も終わりが近づいてますが、ソウと並ぶ次世代を担うボランチが来季の補強ポイントのひとつではないでしょうか。
そして3バックを形成するCBの序列はどうかというと、結論で言えばその中の2人にエンディカとヒンテレッガーは絶対に欠かせない。
エンディカは左利きでSB並みの機動力を兼ね備えていて、後ろで守るだけにとどまらず前からのプレッシャーにも優れているし、ビルドアップからいざとなれば自らバイタルエリアまでボールを運べる有能すぎるCBなのです。
ヒンテレッガーもドリブルで持ち上がるのは苦手でないしロングパスも出せる、なにより攻守問わずセットプレーでの空中戦での強さはリーグでもトップレベルです。
エンディカとヒンテレッガーの最終ラインでのパフォーマンスはこのチームの守備力と失点にそのまま直結すると言っても過言ではないでしょう。
どちらも個の強さはもちろんのこと、ボランチ以上に後方からの攻撃のサポートに貢献できるチームの柱でもあります。
では3バックとなると残る1枠に誰が入るのかというところで、長谷部とイルザンカーとトゥタがこの1枠を争っています。
アブラハムの退団に伴って後半戦はトゥタがまずチョイスされましたが、トゥタは基本技術は高くてもエンディカやヒンテレッガーのようにアグレッシブな攻撃参加はしなくて、じっくりとボールを保持してパスをさばくといった印象があります。
CBとしてのタイプは長谷部もイルザンカーもトゥタもそれほど大きな違いがないと筆者はとらえています。
それぞれ違いがあるとするなら、長谷部には大ベテランとしての統率力があり、イルザンカーには対人での強さがあり、トゥタにはたしかなテクニックがあると思います。
エンディカとヒンテレッガーが隙あらば敵陣に深く侵入するときにはボランチのどちらかがその穴を埋めて守備に備えるべきなんですが、ボールロストしてカウンターを受けると数的不利を招く可能性があるため、後ろでしっかりストッパーとして対応できる選手が理想になります。
そのとき相手のアタッカーが長身のパワー系なのか俊足のドリブラーなのか、どんなタイプと誰が対峙するかで勝敗が決まってくるでしょう。
ただし、繰り返すけど残念ながら長谷部とイルザンカーとトゥタの3人は決してスピードで勝負できるタイプではありません。
そうなると裏をとられないことを前提としつつ、対人で強さがありかつ読みの鋭さで危険を回避できるCBがひとりいるのが最も最適。
総合的に判断したとき、やっぱりトゥタがいるほうが安定するかなと思います。
フランクフルトが不利な展開になった時にイルザンカーと長谷部がフルタイムで守備のクオリティを保てるかは疑問です。
結局のところ、相手がどんなスタイルのチームかによって3人目のCBの使い分けはされるべきと思っています。
というわけで、エンディカとヒンテレッガーを除く3人のCBの序列はほぼフラットじゃないかと思います。
Kevin Trapp = 200 ❌ @Bundesliga_DE @AminYounes11 = 50 ❌ @Bundesliga_DE
— Eintracht Frankfurt (@Eintracht) 2021年4月25日
🦅👏#SGE pic.twitter.com/XQyhOQWbay
前節のフランクフルトはアウェイでレヴァークーゼンに敗れてしまいました(>_<)
イルザンカーはやはり相手の左ウイングであるベイリーにはほぼアジリティで突破されてしまいました。
レヴァークーゼンのようなスピードのあるアタッカーが多いとフランクフルトは押し切られてしまいます。
この試合でGKのトラップはブンデスリーガ通算200試合出場を達成したそうです(^^♪
It's not over until it's over. 👀
— Bundesliga English (@Bundesliga_EN) 2021年4月25日
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新型コロナウイルスの影響でヘルタの関係する試合が延期になっていますが、ブンデスリーガは残り3試合となりました。
優勝争いはもうバイエルンが優勢のままライプツィヒにちょっとだけ希望が残されてるという状況です。
フランクフルトは最低でもEL出場圏内は確定していて、CL出場権をヴォルフスブルク、ドルトムント、レヴァークーゼンで争うことになります。
だからこそ前節のレヴァークーゼンとの直接対決を落としたのはフランクフルトにとって痛恨のダメージでした。
フランクフルトの次節の相手がマインツでその次がシャルケということを考えれば難しくはないけど、かたやマインツはバイエルンも倒すほどの好調で、シャルケにいたっては降格も決まって開き直って戦えば思わぬ強さを見せるかもしれないので油断はできません。