バプティスト・サンタマリア
フランスのトゥールの下部組織出身のフランス人ボランチ
長短の高いパス精度と視野の広さにが持ち味であるが、チャンスメイクよりもチームに安定性をもたらすバランサータイプである。豊富な運動量でポジションによらず精力的なプレーを見せる。守備でもボール奪取に優れていて、ユーティリティ性のある役割をこなせる。
サンタマリアは2020年の夏にアンジェから完全移籍(移籍金は1000万€で契約期間は非公開)してきました(^^♪
サンタマリアはフランスのほぼ中央部に位置するサン・ドゥルシャールの出身で、少年時代に地元のブールジュのアカデミーに入団して、そこから西へ渡ってトゥールの下部組織を経てプロになり活躍すると、トゥールのさらに西にあるアンジェに移籍してフランスのトップチームへとたどり着きました。
Wikipediaにも書かれていますが、フランス人MFのモルガン・サンソン(現アストン・ヴィラ)も同じサン・ドゥルシャールの出身で、ブールジュのアカデミー時代は2年ほどサンタマリアと一緒に過ごしたのではと思います。
サンソンはサン・ドゥルシャールから北西にあるル・マンでプロのサッカー選手になり、その後はトゥールーズにマルセイユとフランスの北側地区を中心にキャリアを過ごしていました。
現在のフライブルクはサンタマリアと同じくフランス人でチーム歴も長いシュミットがいて、セカンドチームにはトップチーム昇格候補のシルディリアというDFがいて、昨季まではDFのラヴェ(現グルノーブル)がいたりとフランス人には縁があるみたいです。
さらにフライブルクの過去をさかのぼっていけば、アフリカにルーツを持つフランス人選手が何人か見つかると思います。
それもそのはずで、フライブルクはそもそもドイツの最も南西にあるフランスとの国境に近い都市なので、交通網はわかりませんがフランスの近隣都市との往来は簡単なのかなと思います。
サンタマリアは今季のフライブルクで移籍初年度を迎えています。
kickerの記事の見出しになっているとおり、サンタマリアの獲得に投じた1000万€はフライブルクのクラブ史上最高額となっています。
ビッグクラブの移籍報道ばかり見ていると感覚が麻痺しそうですが、伝統はあっても大都市じゃないクラブの規模を考えれば1000万€はじゅうぶんな高額だと思います(^^;)
今のフライブルクの選手たちでさえ、獲得したときの平均移籍金はざっくりですが300万€ぐらいです。
それだけサンタマリアの獲得にはかなり思い切った金額で、いかに注目と期待を背負ってやってきたかがわかります。
とは言ったけど、もちろんこのコロナ禍の不況でフライブルクにもとからそんなに資金があったわけではありません。
フライブルクは今季開幕前にヴァルトシュミット(現ベンフィカ)、コッホ(現リーズ・ユナイテッド)、シュヴォロウ(現ヘルタ・ベルリン)など何人かの実力者を売却しています。
名前を挙げた3名だけでもトータルの移籍金は3500万€にもなります。
間違いなくサンタマリアの移籍金の資金源はここからでしょう。
しかし、サンタマリアと同じポジションではフランツ(現ハノーファー)、ゴンドルフ(現カールスルーエ)、ダフェルナー(現ディナモ・ドレスデン)まで手放していて、どう考えてもサンタマリアの補強だけじゃ頭数が足りてないのが心配でした。
さらには冬にアルバニア代表のアブラシまでフライブルクを去ったので、このチームの中盤の層は今季はかな~り薄くなってしまっています(>_<)
これだけ戦力を失いながらも現時点でリーグ戦を中位で維持しているのが逆にすごいなと思えますね。
中盤のセントラルプレイヤーのバリエーションとクオリティが明らかに下がってしまったフライブルクでしたが、筆者はサンタマリアがどんなふうにチームの助けになるのかに期待していました。
今季のサンタマリアのポジション争いについて
サンタマリア自身の特性を考えるとボランチにとどまらず、いろんな起用の幅がありそうな気がしますが、前述のとおりボランチは層が薄く本職が少ないため、サンタマリアの今季の起用法はボランチのみになります。
31歳 ヘフラー
29歳 アブラシ(アルバニア代表)
26歳 サンタマリア
22歳 テンペルマン
※負傷離脱:2021/03/05~2021/03/17
21歳 カイテル
21歳 ブハルファ
※負傷離脱:2021/01/01~2021/03/07
合計 6名⇒5名
今季の新戦力はサンタマリアだけで、若い3人はフライブルクの下部組織から昇格してトップチームに登録されている選手たちです。
テンペルマンがユースレベルではどこでもこなせるユーティリティプレイヤーですが、基本的に全員がボランチかまたはセントラルハーフでプレーしています。
あとすごくどうでもいいことなんですが、アブラシを含めたとしても上にあげたリストの選手たちの誕生日がそれぞれ近く、最大で3か月しか離れていませんでした(^^;)
シーズン前半戦
前半戦のダブルボランチはほぼヘフラーとサンタマリアで固定されていました。
サンタマリアが加入したのは9月の中頃だったので、約1か月早く開幕したリーグ・アンで移籍する直前までまだアンジェの試合に出ていたこともあり、サンタマリアは開幕戦には出ていません(^^;)
ちょうど折り返し地点となる17節のフランクフルト戦、ヘフラーが累積警告でこの試合を出場停止となり、サンタマリアは先発するもわずか5分で負傷交代という事態に見舞われ、この試合だけリーンハルトとハベラーがダブルボランチを組むという変則的な措置がとられました(結果は2-2の引き分け)。
ちなみにその試合ではカイテルがハベラーとの交代でボランチで今季初出場となり、テンペルマンは試合終了間際にキュブラーとの交代で右SBで出場しました。
テンペルマンは途中出場が多くて出場時間も短く、右SBで入ることが多かったためあまり印象的なプレーを見ることができませんでした。
開幕戦とその17節を除くと、多少フォーメーションの変動はあれど残りはすべてヘフラーとサンタマリアのダブルボランチでスタートしています。
相手に強く寄せながらもスマートに守るヘフラーと精力的に動いて攻守に奔走するサンタマリアは相性が良さそうに見えました。
サンタマリアはシーズンオフとトレーニングをチームメイトと過ごせていないにも関わらず、即戦力としての起用にしっかり応えて周囲を納得させるパフォーマンスだったと思います。
やっぱりフランス人の先輩であるシュミットがコミュニケーション面で支えてくれるし、試合中も近くにいるから声をかけてもらうことも多いんでしょうね。
移籍してきてまず言葉の通じる選手が一人いるかいないかで試合への順応速度はグッと変わってきます。
シーズン後半戦
4-4-2を多用している後半戦も中盤の形は変えてないので、ダブルボランチも前半戦をベースに継続しています。
18節~26節の現時点でも変わらずヘフラーとサンタマリアがボランチコンビを組んでいて、ヘフラーは後半戦フル出場になっています。
ヘフラーは攻撃面で大きなサポートはできないけど、守備では中盤でタイトに守るほか、最終ラインまで下りてきてCBのビルドアップに加わったりボールを落ち着かせることができるので監督の評価も高いんでしょう。
そのヘフラーとの関係性を見ながら比較的自由に動いてるサンタマリアがバランスを見ながら攻守で走り回るんですが、目立たないけどよくよく注目してると今季開幕後よりもはるかに連携が密になってきました。
あとは攻撃陣にアイデアが足りないのがこのチームの課題なので、ヘフラーとサンタマリアがもう少し思い切ったプレー、縦パスやミドルシュートを狙っていければ攻撃の厚みが増すと思っています。
そんなヘフラー&サンタマリアにテンペルマンとカイテルが割って入ることができず、2人の若手はセカンドチームでの試合をこなしている現状で、ブハルファにいたっては年明けから怪我で離脱していてやっと復帰したばかりです。
もちろんヘフラーもサンタマリアも怪我もせずにやれているからこそサブメンバーに出番がまわってこないんですけど、カイテルあたりは今後を見据えたうえでこれからの終盤戦で出番をもらえるかもしれません。
ただしフライブルクもEL出場権が視野に入るとそこを目指すために監督としてもシビアな采配が予想されるので、どこまで若手にチャンスを与えてくるのかはそれ次第でもありますね。
というわけで、ボランチのポジション争いとしては実際のところヘフラーとサンタマリアに対抗しうる実力者もいないので、サンタマリアがメンバーから外れることはまずありません。
心配なのはシュトライヒ監督がここ数試合でスタメンをよく代えてくるので、何か戦略的な意図をもってサンタマリアの器用にも影響がでる可能性はあります。
その可能性を考慮しても、筆者の考えでも少なくとも今季はサンタマリアがボランチとして重要な役割を演じきれると思っています(^^♪
#SCFFCA 2:0 (90.)
— SC Freiburg (@scfreiburg) 2021年3月21日
Schluuuuuuuss!! ❤️ pic.twitter.com/EUf4lKnMHh
Christian Günter's run to set up this goal 👏👏👏 pic.twitter.com/tVN4KkskEL
— Bundesliga English (@Bundesliga_EN) 2021年3月22日
フライブルクは前節にホームでアウグスブルクと対戦して2-0で勝利しました(^^♪
結果だけ見たらフライブルクが完勝してるんですけど、試合を観た立場で言うとどちらとも言えないもどかしい試合ではありました(^^;)
全体として試合の流れはフライブルクがやや掴んでいたと思いますが、それでも先制点の起点になったギュンターの「どけどけ!!」と言わんばかりの猛進ドリブルがなければ、そのままスコアが動かなかった可能性のほうが高かったんです。
ギュンターはDFを軽く3人かわしてますが、たまに見せるギュンターの強引なプレーが勝利を引き寄せました。
Christian #Günter und Philipp #Lienhart in der Elf des Tages beim @kicker_bl_li 👏👏👏
— SC Freiburg (@scfreiburg) 2021年3月22日
___#SCF pic.twitter.com/twocpQShkx
そしてCBのリーンハルトは前節のkickerのベストイレブンに選出されました(^^♪
リーンハルトはゴール前の強さももちろんのこと、CBのみのタスクにとどまらずにちゅばんの選手のような立ち回りもできてますます成長が著しいところです。
結果的に手放したけどさすがレアル・マドリードが一目置いた選手だなと思います。
フライブルクの次節の相手は絶不調で順位を落としているメンヘングラートバッハです。
そのあともビーレフェルト、シャルケ、ヘルタと今季は買いに沈んでいるチームとの連戦が待っています。
フライブルクにとってこれは非常に大きなチャンスで、EL出場権獲得が現実味のある局面を迎えています!
次回からのオートグラフはマインツ編になるのでフライブルクはここで終わりますが、引き続きフライブルクにも注目していきたいと思います(^^♪