ヨナタン・ブルカルト
ウインガーであるが突出したドリブラーではなく、サイドから中央へスライドする動き、DFの背後へ抜け出す動きを得意としていてゴール前でのポジショニングにも優れている。
ブルカルトは18歳になった2018年にマインツU19からトップチームへ昇格してマインツとプロ契約を交わしました(^^♪
ブルカルトの出身地はダルムシュタットなので、ダルムシュタットのジュニア部門で少年時代を過ごしていたそうです。
ダルムシュタットの出身者の中には今季に成績不振でヘルタ・ベルリンを解任されたラッバディアがいて、彼は選手としてもダルムシュタットのOBです。
おそらくサッカーファンにとってダルムシュタットは小さな田舎のイメージなのかもしれませんが、ダルムシュタットから北西にライン川を隔ててマインツがあり、ダルムシュタットからほぼ真北にはフランクフルトがあり、どちらも車でおよそ30分弱で行けるという土地です。
ということで、ブルカルトにとってマインツはほぼ地元のような場所なんじゃないかと思います。
マインツU19時代には現在のチームメイトであるバレイロやリーゼガングと共にプレーしていました。
ブルカルトとバレイロは同い年ですが、ブルカルトのほうが5か月ほど早くトップチームデビューを果たしています。
マインツは育成年代で優秀な選手がそろっていると聞きますが、実際にトップチーム入りして定着する選手は非常に少ないです。
最近だと特に才能があったバクがマインツで大成する前に早々にヴォルフスブルクに引き抜かれてしまいました。
FWに限定するとこれまでザイデル(現ダルムシュタット)やデンマーク人のベルグレーン(現グロイターフュルト)がトップチームでプレーしましたが、怪我での離脱もあったせいか結果を残せずに移籍の道を選んでいます。
そんなマインツも即戦力の大型ストライカーを獲得するのもなかなか難しいなかで、ブルカルトのようなユース出身者には大きな期待が寄せられています。
ブルカルトが正式にトップチーム登録されたのが18-19シーズンからなので、記録上は今季のマインツで3シーズン目を迎えています(^^♪
ちょうどブルカルトの加入と同時期にニューカッスルへ移籍したのが元日本代表の武藤嘉紀(現エイバル)でした。
このときの武藤が残した移籍金(約1000万€)のおかげもあって、ここから大きく活躍してプレミアリーグまで成り上がることに成功したマテタ(現クリスタル・パレス)をリヨンから補強することができたんですよね。
このマテタが今季途中に移籍するまでは絶対的なエースストライカーとして君臨したことでマインツは1部に残留できていると言っても過言ではないし、もしかしたらマテタが来なかったらブルカルトはもっと早くトップチームで多くの出場機会を得ていたかもしれません。
ブルカルトと同時に18-19シーズンに加わった選手はマテタだけではなく、ニアカテ、クンデ、バレイロ、ムウェネ、ボエティウスと現在のマインツの主力メンバーが一度にチームに加わっています。
あのときこれだけの選手を揃えていなかったら、間違いなく今頃は2部で昇格争いに苦しんでいたと思います(^^;)
ブルカルトのプロ初ゴールは昨季のアウェイでのドルトムント戦(2-0で勝利)の先制点でしたが、今季初ゴールはアウェイでのバイエルン戦(2-5で敗戦)でこちらも先制点でした。
バイエルン戦は結果的に力の差でねじ伏せられてしまったけど、ブルカルトは強豪相手にチャンスを掴み取る力を持っていますね(^^♪
今季のブルカルトのポジション争いについて
ブルカルトはウイング、サイドハーフ、センターフォワードと攻撃的なポジションを左右問わずどこでも任されています。
ポリパレントな選手としてそういう方向性で起用されるのか、最適なポジションを見極めていつかは固定されるのか、今のところマインツではどうなるかはわかりません。
現時点でポジションを絞るのは難しいので、該当ポジションを一通りリストアップするので少し競争相手が多くなります(^^;)
※負傷離脱:2020/11/13~2020/12/22
29歳 オニシウォ(オーストリア代表)
28歳 チ・ドンウォン(韓国代表)
27歳 クアイソン(スウェーデン代表)
※負傷離脱:2021/01/30~2021/03/01
27歳 ムウェネ
27歳 ダ・コスタ
27歳 グラツェル
25歳 エズトゥナリ
22歳 マテタ
22歳 アバス
20歳 ブルカルト
19歳 ムスタファ
18歳 ネベル
合計 11名⇒10名
非常にややこしいですが説明します(^^;)
今季がスタートした夏の時点では11名がマインツに在籍していました。
そこから冬にマテタとチ・ドンウォンとアバスの3人がレンタル移籍でチームを離れたため8人になりますが、ダ・コスタとグラツェルがともにレンタル移籍で加入したため、冬のマーケット終了時点で±1となり結果的に10人になったというわけです。
上に挙げたのはトップ下のボエティウスのような一部の選手を除く「攻撃的なポジション」のほぼ全員と思ってもらって大丈夫です。
マインツの採用するフォーメーションに当てはめたとき、ざっくりですが大きく分けて1トップや2トップでのセンターフォワードか、サイドハーフに分けられます。
ブルカルトを含め両方でプレーできる選手もいますが、ムウェネとダ・コスタとエズトゥナリはFWはやらないし、サライとグラツェルとムスタファはサイドハーフはやりません。
さらに説明が必要なのは、今季のマインツは成績不振による監督の解任劇でなんと現在のスヴェンソン監督で4人目(^^;)
今季開幕時のバイアーロルツァー監督は開幕からわずか2試合で解任されました。
次のリヒデ監督になると状況はさらに悪化し、奇策とは言い難いめちゃくちゃな采配で昨年いっぱい務めるも、すべての試合で失点した上にわずか1勝しかできず、リヒデ監督は明らかな監督としての実務経験不足を露呈して解任されました。
3人目のジーヴェルト監督はマインツの下部組織で指導者をしていて、正式な監督が決まるまで暫定的にトップチームの指揮を執ることになりましたが、バイエルン戦(2-5で敗戦)のみ登場して今のスヴェンソン監督へと引き継がれました。
ジーヴェルト監督のケースをカウントしないのなら、今季のマインツはスヴェンソン監督で実質的には3人目と言えるでしょう。
これからフォーメーションボードと一緒に書いていきますが、こんな経緯で監督のやり方でコロコロとシステムも変わっています。
正直言ってリヒデ監督がめちゃくちゃにした選手起用と配置はほんとに酷くて何から話していいかもわかりません(>_<)
監督ごとに書くのは面倒なので、前半戦は平均的に見ながらざっくりおさらいをします(^^;)
シーズン前半戦
しつこく念を押しますが、上のような構図でやってたかというとそうではなくて、あくまで「前半戦の17節を集計して平均するとこんな感じになりますよ」の参考程度のものです。
実際に前半戦のほとんどを指揮したリヒデ監督は3バックのほうが多かったですしね。
今回はブルカルトの記事なのでそれに関連して話をすると、攻撃陣はマテタのパワフルな推進力と神出鬼没なクアイソンを活かすというところは前任のバイアーロルツァー監督とほぼ変わりません。
ボエティウスもなかなかすばしっこくて技術もあるので、うまく絡み合うとなかなか面白い攻撃が見られます。
ただしマテタへの依存度は高めであり、マテタを封じられると中盤だけでゴールを奪うのは難しかった。
前半戦で唯一勝利したフライブルク戦でさえマテタのハットトリックありきでした。
それぐらいマテタが決定機を得られるかどうかがチームの士気や調子に直結しているということです。
前半戦のマインツは攻撃陣により明確な解決策を見つけられず、変化をつけられなかった指揮官の不甲斐なさは否定できないと思います(>_<)
シーズン後半戦
スヴェンソン監督が就任した後半戦は選手配置も的確になり、よりチーム構成も明確になりました(^^♪
2トップを採用した前線ですが、マテタが抜けて新たにグラツェルが加わりました。
マテタが抜けた穴をどうカバーしていくのかという心配をよそに、マインツはライプツィヒやレヴァークーゼンといった上位チーム相手に攻め勝っていきます。
3バックが安定したことで攻撃にも厚みが増したと思うし、冬に迎え入れたコールとダ・コスタが恐ろしいスピードでチームにフィットしたことなどいくつかポジティブな要素がありました。
前線の選手ではサライの調子が良くなっていて、持ち前のゴール前での嗅覚の鋭さや強さを取り戻しつつあります。
今季は逆にオニシウォの調子が上がってこないなか台頭してきたのがブルカルトとグラツェルでした。
これまでのブルカルトはサイドプレイヤーとしてどこか思いきれないプレーが目立ちましたが、ゴール前や2列目とある程度のポジショニングの幅が広がるとこれがなかなか良い動きをします。
両WBのムウェネとダ・コスタがクロスだけでなく積極的にドリブルでも相手選手を引き出してくれれば、2トップはフリーにもなりやすいので効果的です。
クロスや守備が得意でないブルカルトが運動量も必要とするWBをやることはないはずなので、おそらくスヴェンソン監督のもとでは2トップで固定されると思います。
そうするとブルカルトの競争相手となるのはサライ、オニシウォ、クアイソン、グラツェル、ムスタファの5人です。
個人的にはサライとグラツェルは非常に似たタイプの印象を受けていて、ブルカルトにとってはクアイソンやオニシウォがタイプとして近いので彼らがライバルになるのかなと考えています。
ブルカルトは経験の上でも実力的にもクアイソンとオニシウォにはまだ及ばないけど、今季の開幕から彼らと変わらないに試合数をこなしているブルカルトは確実にチームに馴染んできています。
また数字の上ではFWたちにゴール数など大きな差がないので、終盤にかけていかに結果を示せるかが序列を決めるカギになります。
代表ウィークでブンデスリーガもお休みだったので、年度末で何かとバタバタしている筆者は頭を休ませようとしばらく情報をシャットアウトしていました(^^;)
日本代表やドイツ代表の試合を観ただけで、あとはブンデスリーガの代表選手たちがそれぞれどんな活躍をしたのかも知りません。
たぶん代表ウィーク中は各クラブはトレーニングマッチやトレーニングの情報が多いのではと思っています。
またリーグ戦も流れが途切れたので、週明けからはフレッシュなブンデスリーガが始まるでしょう(^^♪
マインツに関して言えば幸いにしてこの期間に負傷した選手もいないようです。
マインツはシーズン終盤にバイエルンやドルトムントやヴォルフスブルクとの試合を残しています。
それまでに勝ち点を少しでも積んでおかないと、また降格がちらつく苦しい状況になります。
まずは週末のビーレフェルトとの下位対決、ここをしっかり勝ち切れるか見ていきたいと思います。