ケヴィン・トラップ
カイザースラウテルンの下部組織出身でドイツ代表GK
シュートに対する反応速度、ポジショニング、クロスへの対応などGKとしてのスキルはどれも高い。状況を読んで自ら積極的に動けるGKであり、味方のDF陣のフォローもできて守備範囲が広いのも魅力のひとつ。
トラップは2019年の夏にパリ・サンジェルマンからフランクフルトに完全移籍(移籍金は700万€で5年契約)してきました(^^♪
トラップの出身地はメルツィヒというドイツの南西端に位置する都市のひとつであり、フランスとルクセンブルクとの国境線があります。
メルツィヒからほぼ真東にカイザースラウテルンがありますが、この2つの町は少し距離が離れています。
Wikipediaによれば、トラップは少年時代は地元のアカデミーに所属していましたが、あるときカイザースラウテルンの関係者が視察にきていたらしく、それをきっかけにトラップがその後にカイザースラウテルンのトライアルに参加したことがプロへの道に繋がったそうです。
トラップがプレーモデルとした憧れのGKはドイツ代表のレジェンドのひとりであるオリヴァー・カーンらしいですが、残念ながら筆者は世代的にカーンのことを語れるほど詳しくは知りません(^^;)
カーンについては2006年のドイツW杯前後の国際試合で少しだけ見る機会があった程度でしたが、おそらくあの世代のサッカーにおいて最高峰のGKだろうというのははっきりと感じました。
カーンは顔立ちと目つきの悪さから物凄い威圧感を感じましたが、トラップはそういう威圧感を放つタイプではありません。
ただ、トラップはドイツ代表のGKのなかでノイアー(現バイエルン)やテア・シュテーゲン(現バルセロナ)に負けないほどの実力者だと筆者は思っています。
カーンやレーマンに続く彼らの台頭があって、今ではドイツ国内では世界的にも評価されるほどのGKの宝庫になりました(^^♪
トラップのあとにもすでに次代を担うGKがどんどん出てきてトップリーグで活躍していますが、まだまだトラップも30歳、GKが40歳まで第一線でやれるポジションとするならまだまだこれからですね。
トラップは今季のフランクフルトでパリ・サンジェルマンから移籍してからはレンタル期間を含めて3シーズン目、2012年にカイザースラウテルンから完全移籍してからのトータルでは6シーズン目を迎えています(^^♪
つまり2012年に初めてフランクフルトに加入してからの9年間のうちちょうど中間の3年間をパリ・サンジェルマンで過ごしたわけです。
まだ実戦経験もそう多くなかったカイザースラウテルン時代のトラップはまだ若手でしたが、フランクフルトに引き抜かれるとあっという間に正GKの座を勝ち取りました。
その実力が認められてパリ・サンジェルマンへ移籍すると、イブラヒモヴィッチ(現ミラン)、カバーニ(現マンチェスター・ユナイテッド)、ディ・マリアなどを擁する最強軍団の一員としてトラップも守護神を務めて圧倒的な強さでリーグ・アン制覇も成し遂げました(^^♪
ただしトラップが最高に輝いたのはパリへの移籍初年度だけで、2年目からアレオラ(現フラム)に少しずつ出場機会を奪われていって、最終的には完全に第2GKとなってしまったところでフランクフルトから再び獲得のオファーがあったというのが大まかな流れです。
18-19シーズン、フランクフルトは正GKのフラデツキー(現レヴァークーゼン)の退団と、シーズン開幕前のレノウ(現シャルケ)の負傷により即戦力のGKが必要だったため、移籍金がネックになったもののとりあえずレンタル移籍でトラップを獲得することに成功しました(^^♪
フランクフルトに復帰後のトラップは巡ってきたチャンスを掴み取り正GKとしてシーズン通してゴールを守りました。
完全移籍となった昨季はアウェイでのウニオン・ベルリン戦で空中での競り合いの際に味方である長谷部と強く接触して肩を負傷して離脱しましたが、怪我からの復帰後の全試合でフルタイム出場を果たしています。
とまぁいろいろありながらフランクフルトで長くやっているほうのトラップですが、パリ・サンジェルマンへの移籍前後で細かいプレーが飛躍的にレベルアップしていると思います。
ドイツにノイアーという才能がいなかったら、ドイツ人GKはテア・シュテーゲンとトラップの2枚看板の時代になっていた可能性が大いにあります。
今はドイツ人に限らずブンデスリーガは最高のGKが揃っていますが、筆者はトラップもその最前線を走る最高のGKのひとりだと強く推したいと思います。
今季のトラップのポジション争いについて
30歳 トラップ(ドイツ代表)
22歳 シューベルト
19歳 ベルドナー
合計 3名
GKというポジションほど「ポジション争い」という言葉が似合わないポジションはありません(^^;)
GKがフィールドプレイヤーを兼任することがまずないうえに、チームでシーズンを通して活躍する選手がほぼひとりに限られているからです。
例えばある程度の公式戦出場経験のあるGKが2人以上在籍していれば、それぞれのGKの良し悪しを比べることもできますが、試合に出られていないGKをサポーターやファンの立場で客観的に評価したりするのが難しいんです。
シーズン前半戦
トラップは前半戦の全17試合でフル出場を果たしていて、第2GKとしてはシューベルトがベンチに控えていました。
フランクフルトは開幕からのスタートダッシュは良好でしたが、その後は引き分けが多く勝ちきれない試合が増え、前半戦はリーグ戦中位を維持していました。
その中でフランクフルトが無失点を記録したのがアウグスブルク戦とマインツ戦のたったの2試合でした。
筆者は全試合を観ているわけではないんですが、もちろん失点についてはトラップだけの責任ではなく、DF陣と中盤の連携のズレだったり、選手の技術的なミスだったり失点の原因は主にチームの問題としてありました。
前半戦にフランクフルトがとられたPKが4回ありましたが、トラップはそのすべてを決められてしまいました。
ただGKとしてのパフォーマンスなら、トラップはシュートストップや判断力においてかなり優れていたと思うし、ブンデスリーガのGKでもトップレベルの評価をされるべきだと思っています(^^♪
シーズン後半戦
後半戦も引き続きトラップがフル出場を続けています(^^♪
アブラハムの退団で陣容が変わったDFラインとソウやローデら中盤の連携が高まったことでアグレッシブな守備が発揮されるようりなり、フランクフルトの失点そのものは減ってないけどそれを凌駕する攻撃力で後半戦は未だ1敗と怒涛の快進撃を続けています。
中盤での強度が高まったことでトラップへの負担は少し軽くなったとは思います。
ただ面白いのは、ベンチにはシューベルトと第3GKのベルドナーが両方入るようになってきたことです。
明確な意図はわかりませんが、ヒュッター監督はいざというときにシューベルトとベルドナーのどちらでも試合に出れるようにしたいのかもしれません。
GKは実戦経験がものを言う最も重要なファクターですが、ベンチ外で試合を遠くから見るのと、ベンチに座ってもしかしたらアクシデントで出番がくるかもしれない…という心境で試合を見るのとではメンタル面で大きな差があります。
技術的な部分はGKコーチや練習で養うことができますが、実際に試合に出るかもしれない立場でチームがどんなふうにプレーしているか、GKがどんな指示を出したりコミュニケーションをとっているかを知るうえで、「控えのGK」として得られる情報や知識がたくさんあります。
なのでたとえトラップが飛びぬけて優れたGKだとしても、シューベルトとベルドナーも見えないところで気持ちを高めたりイメージを巡らせたりして自分がピッチに立った時に備える必要があるわけですね。
ちなみにフランクフルトのGKコーチは最近まで現役選手だったヤン・ツィマーマンで、彼はフランクフルトの下部組織出身で、昨季までフランクフルトの第3GKでした。
選手として一緒に切磋琢磨したトラップとベルドナーにとってはいい仲間だと思いますね(^^♪
6️⃣ matchdays to go 🗓️
— Bundesliga English (@Bundesliga_EN) 2021年4月15日
Some mouthwatering clashes in store 🤤#BLMatchday pic.twitter.com/URnf6FbOV7
フランクフルトはヒュッター監督が今季限りで退任するという衝撃のニュースが飛び交って間もないこのごろ。
筆者も驚きましたし、フランクフルトに限らず今季は監督や選手の去就についてシーズン途中での公表が相次いでいるので、賛否両論あるなかで複雑な気持ちはもちろんあります。
フランクフルトとしては、来季のCL出場権をかけて勝ち続けないといけない大事な時期に来ています。
ちょうど今夜のメンヘングラートバッハ戦もターニングポイントとして重要な試合になります。